【実用化は無理!】自動運転で運転手が失業しない5つの理由。
こんばんは、トレンディパパです。
各国の自動車メーカーがこぞって自動運転の技術を開発・進歩させていますね。
海外ではすでに公道での試運転が行われていたりと、実用化がいよいよ遠い未来の話ではなくなってきました。
そこで気になってくるのが、自動運転、つまりはAIによって現在の仕事が奪われてしまう可能性のある方々。トラックやバスの運転手、タクシードライバーなどなど‥‥。私も長距離トラックの運転手をしているので内心ひやひやしています(笑)。
けど安心してください。自動運転はその用途によってはまだまだ実用化するレベルには程遠いです。今回はその理由をお話したいと思います。
自動運転化が通用する分野
ここで少し自動運転化が実用可能であろうという分野を考えてみましょう。
近場への移動
例えば、一般家庭での自家用自動車にAIが組み込まれた場合、「ちょっとそこのスーパーまで買い物へ」というときには十分使用可能でしょう。
スーパーやデパートなどは比較的大きな幹線通りにある場合が多いですし、道路も入り組んだ分かりづらいところではないはずです。
一度行先を設定してしまえば、難しい話ではないでしょう。
免許取りたての初心者や老人の運転する車よりよほど安心できるレベルで行先までたどりつけるでしょう。
高速道路
高速道路に一度乗ってしまえばあとは自動運転に任せてもある程度は大丈夫です。
ほぼ直線ですし、信号機や交差点といった注意しなければならない場面が少ないから。何より歩行者や自転車といったいわゆる「交通弱者」がいませんからね。
ただここにも危惧するべき点はあります。後ほど書きます。
自動運転化が難しい場面
では、なぜ自動運転化が厳しいと思うのか、その理由を見ていきましょう。
話を分かりやすくするために、自動運転ではない人間が操作する車のことを「手動運転」として話を進めていきます。
制限速度・法定速度を守りすぎる
車やバイクを運転される方なら分かると思いますが、例えば制限速度が「40㎞」の道路を40キロで走行している人って少なくないですか?
大抵の方は50キロ前後で走行しているはずですし、警察もその位ではスピード違反とはみなさず検挙しません。暗黙の了解というやつです。この暗黙の了解によって行動の交通はスムーズに流れているといっても過言ではありません。
では自動運転ではどうでしょうか。AIの優秀な機能により事故を起こしづらい速度、つまり法定速度や規制速度をきっちり守って走行するでしょう。
この技術は大変すばらしく実現すれば劇的に事故は減るでしょう。ただしそれには条件があります。それは「全ての車が自動運転化されれば」の話。
どういうことか説明します。
例えば、朝の通勤ラッシュの時間帯。
自動運転の車が法定速度通り「時速40キロ」で走行しているとします。前述したように手動運転の車は法定速度よりもわずかに早いスピードで走行しているので、自動運転の車の後ろには長い渋滞が出来ているはずです。
そうなると仕事に遅刻しそうな手動運転の車はイライラが募り無理な追い越しをかけるかもしれません。対向車線からも車は来ています。
何とか追い越したはいいものの、自動運転の車のすぐ前に割り込む形となってしまいました。すると優秀なAIは車間距離を十分に確保しようと強めにブレーキをかけます。同じようにイライラして車間を開けていなかった後ろの車は‥‥。
このようにバカ正直に速度を守ろうとすることによって、手動運転の車のイライラを増幅させ事故につながる可能性が高くなります。
追い越しをかけるときに対向車線からの車とぶつかるかもしれない。
急ブレーキをかけた自動運転の車との車間を確保していなくてぶつかるかもしれない。
イライラした心理状態は事故を起こす確率が高くなるのは様々な研究や過去の事故事例から明らかになっていますからね。
かといってAIに「制限速度を超えて走行」するように指示できるのでしょうか。出来たとしても、事故を起こしたときに保険が適用されなかったり、事故を起こした場合の刑事責任は自動車メーカーではなく使用者本人に100%のしかかってきたりといったリスクが伴います。
自動運転が問題だと言っているわけではありません。
「自動運転と手動運転が混ざっている」のが問題なのです。
すべての車が自動運転化されればこういったこともなくなるのでしょうが、それこそまだまだ遠い未来の話になるでしょう。バイク業界に自動運転化の話なんてまだ聞かないですし。
そもそも自分で運転するのが好きだという方に無理やりAI搭載の車を押し付けるのは少し違う気もしますからね。
障害物の認識
AIは交通弱者の認識に関しては非常に力を入れているようです。衝突したら重大事故につながり、自動車メーカーからすれば信用を失いますから。
では障害物に関してはどうでしょうか。
例えば、前方に少し大きめのコンビニの袋が落ちていたとします。手動運転ならば「あ、コンビニの袋があるけど踏んでも問題ない」と、そのまま走行するでしょう。
AIは「踏んでも問題はない障害物」と認識できるでしょうか。仮に超絶優秀で認識できたとしましょう。問題は次です。
前方に「コンビニの袋と同じくらいの大きさの猫の死体」があったとします。
手動運転なら即座に猫の死体と分かるので回避できます。そのまま踏みつける方はなかなかいないでしょう。
AIはどうでしょうか。「コンビニの袋と真っ白な猫の死体」を区別できるのでしょうか。もし「踏んでも問題はない障害物」と認識してしまったら‥‥。
それともAIには障害物があったら停止してそれが無くなるまで走り出せないというようなプログラムを組むのでしょうか。そうなればコンビニの袋があるたびに大渋滞を巻き起こします。
入り組んだ道路
これも開発が進んでいるようです。
あらかじめAIが車の車幅や車長、高さなどをプログラムしておけば、その車では入れないような細い路地には案内しないようになっています。日産マーチとハマーに同じ道を案内したら大変なことになりますからね。
ですがやはりここでも優秀過ぎる自動運転ならではの弊害があります。
入り組んだ細い路地では事故を起こさないように必要以上に最徐行するので、こうなると実用に耐えません。自分で運転した方が早いと多くの方は感じるでしょう。
センサーやカメラの不具合
私は長距離トラックの運転手をしていますが、自社では日野のプロフィアというトラックを使っています。このトラックには前方を走る車との距離を感知して自動でブレーキをサポートしてくれる機能が付いています。
バンパー部分の真ん中にセンサーが付いているのですが、これが度々不具合を起こして使えなくなります。
どういう場合かというと、センサーに雪が付いたり、泥や枯葉が付着した場合に「センサー不良」という表示が表れてその機能は一切使えなくなるのです。
先日もセンサー不良の表示が出たので、車を停止させてセンサーを見てみるとでっかい蛾が潰れてへばりついていました。
自動運転の車はどうでしょうか。
おそらく高性能のカメラやセンサーがいくつも搭載されていて、そのどれか一つでも不具合があれば自動運転モードでは走れないでしょう。高性能とデリケートは表裏一体ですから。
関東方面を主に走る方なら特に問題はないでしょう。道路もきれいに舗装されていますし、雪が降ることも稀です。
東北地方ではそうはいきません。冬の時期には雪がセンサーを邪魔するでしょうし、枯葉や虫による不具合も考えられます。
各自動車メーカーも様々な対策を講じて限りなくトラブルを減らす努力をするでしょう。ですが必ず不具合は起きます。そして、「自動運転ではなく手動に切り替えてください」という表示が出るはずです。
例えば、免許を取得してから自動運転に頼りっぱなしの東北地方の青年が、東京に遊びに行ったとします。
そして渋谷のスクランブル交差点付近でセンサーやカメラに飛び石を食らい自動運転から手動に切り替えなければならなくなったら。
普段、車を運転しない初心者が土地勘のない場所を走行することによって生じるリスクは計り知れませんよね。
手動運転なら助かったかも
例えば、片側一車線のトンネルの中を走行しているとしましょう。
左側はトンネルの壁です。
対向車線から居眠り運転をした乗用車がセンターラインを越えてこちらに大きくはみ出してきました。正面衝突しそうです。
この場合自動運転なら、まず急ブレーキをかけて車速を落とすでしょう。それでも衝突を回避できないと判断したらハンドルをどちらかに切るはずです。
左側はトンネルの壁なのでその選択肢はありません。では対向車線側にハンドルを切るでしょうか。
私はそれはないと思います。
なぜならハンドルを切った先で別の対向車とぶつかるかもしれませんし、はみ出してきた居眠り運転者が目を覚まして自分の走行車線に戻るかもしれません。
わざわざ危険な対向車線にハンドルを切ってその先でさらに事故を起こそうものなら、開発した自動車メーカーが訴えられかねません。
そんなリスクを回避するためにこの場合はおそらく、「ただ出来る限りの減速をする」がメインのプログラムだと思います。もちろん状況に応じて様々な対処をするでしょうが。
極端な例を出しましたが、この例でいくと自動運転は「急減速して対向車が正面からぶつかってくるのを待つ」。
手動運転なら「車を壊す覚悟で左側の壁に寄せて被害を最小限にする。一か八かの対向車線に切って正面衝突だけは避ける」。
あなたはどちらを選びますか?
それとも自動運転の車の説明書にはこう書いてあるのでしょうか。「対向車がはみ出してきた場合減速はしますがぶつかる覚悟はしておいてください」と。そんな車買いますか?
給料の計算
例えば、手動運転時代に一日1万円で働いていたトラックドライバーが、自動運転が取り入れられて、「運転しないんだから給料下げるよ?」と一日8000円に下げられてしまいました。
自動運転といえど、スマホをいじったり居眠りをするのは法律で禁じられているので前方には気を配っていなければなりません。
つまり体自体は拘束されているのに給料だけ下げられるわけです。納得いきませんよね?
自動運転化が進めば大型の免許さえ持っていれば運転の経験がなくても仕事にありつける時代がくるでしょう。ですが、そういう「ペーパー大型ドライバー」が、自動運転が使えない場面に遭遇した時に起こるトラブルは火を見るより明らかです。
運転手の仕事は誰にでもすぐに出来るものではなく、経験がモノを言う職業ですから!!!
まとめ
私自身トラックドライバーなのでつい熱くなって長文になってしまいました(笑)。
全国の運転手のみなさん。自動運転化は確実に進みますが私たちの仕事はAIにすぐに取って代わられるような簡単な作業ではないですよ!!誇りを持って今日も安全運転で参りましょう。
それではまた次のブログで。
ディスカッション
コメント一覧
当方、大型ドライバーですが、エアーの箱車です。
仮に自動運転技術が成熟したとしても、上屋から納品先まで自動化されなければ(もしくは完全対応)、無人のトラックが走ることはないでしょう。高速道路のみとかコンボイの後続が無人化は有り得そうですが、無人で完結できないならやはりないでしょう。あと落とし穴として、完全無人トラックのトータルコストが人件費を下回るかは微妙な所です。将来に渡って人間の方が安いかも知れません。
閉鎖環境以外では実務をこなせる自動運転トラックは実現しなさそうですね。