【ZEEBRA対Kj】公開処刑が無かったら日本語ラップシーンはどうなっていたかを考察!(ジブラ、降谷建志)

2023年2月23日

こんにちはトレンディパパです。

昨今ますます盛り上がりを見せる日本語ラップシーンですが、黎明期からシーンを牽引し続けてきたレジェンドたちの存在を忘れてはいけません。

今回は日本語ラップの「顔」とも言えるZEEBRAの功績とともに、「もしも公開処刑が無かったら」どうなっていたかの世界線について考察していきたいと思います。

それでは早速行ってみましょう。

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キングギドラ「公開処刑」の全貌

最近のHIPHOPヘッズたちはキングギドラの「公開処刑」事件と聞いてもピンと来ないのかもしれませんね。

2022年に発表されたキングギドラのアルバム「最終兵器」。言わずと知れた名盤で、現在ではバトルビートとして使用されている曲も多数収録されているほど。

その中の一曲に、「公開処刑」という曲があります。

アルバム収録曲のほとんどが社会に物申す系の際どい内容のものばかりですが、中でも「公開処刑」は当時のヘッズたちの度肝を抜きました。

①ZEEBRAのバース

ZEEBRAはこの曲のバースでとある人物を痛烈にディスっています。

その相手とは、当時音楽シーンで飛ぶ鳥を落とす勢いだった「Kj」こと降谷建志。Dragon Ashのボーカルとして、ロックバンドの枠組みで活動していた彼は、ある時期からラップにも精通し始め、そちらでも頭角を表していました。

そんなKjに対しZEEBRAは

せいぜいスキル磨きなメイメイ 覚悟決めるのはお前だKj

と、はっきり名指しで批判していきます。

当時リアルタイムで聴いていた私は本当にびっくりしました。「こんなのあり?」って感じで。

くせえ金魚の糞?用はねえ お前の「Grateful Days」も今日まで

と、Dragon Ashの曲に客演として参加した曲「Grateful Days」を引っ張り出して更にディスり倒します。

この他にもZEEBRAはバースの頭からケツまで全てKjをディスって終わります。

②K DUB SHINEのバース

ZEEBRAほどのインパクトはありませんでしたが、ケーダブもとあるラッパーたちを攻撃しています。

その相手は「キックザカンクルー」と「RIP SLYME」

ただ、こちらに関してはZEEBRAのようにズバッと名指しではなく、分かる人には分かる的な隠し要素としてディスられています。

気になる方は楽曲を聴いて分析してみるのも面白いでしょう。

ラッパーの他にも、

どこも英雄づら権利だけ 型にはめてくる電磁波で

当時の携帯電話会社で2強だった「ドコモ」と「au」を暗に批判しているのも見て取れます。

こういった隠し絵のような要素で言葉遊びをしてくるのがケーダブらしいですね。

「公開処刑」後のKjは?

この作品が発表されて話題をかっさらった後、Kjは目に見えてスタイルを変えていきます。

以前までのオーバーサイズの服やキャップをやめて、作る音楽からはラップ詞が減っていきました。

とある雑誌のインタビューでは「国外逃亡も考えた」「このことを考えなかった日は一日もない」と語っており、憔悴しきっている様子が表情からも見て取れました。

現在では完全に勢いを取り戻し、国内の音楽フェスで最も「大トリ」の回数が多いバンドとしてシーンに君臨しています。一方のZEEBRAは「シングルを発売しても600枚しか売れなかった」というネット記事を書かれるほどの有様に。。。。

もしも「公開処刑」が無かったら??

私はかれこれ25年近く日本語ラップのファンです。そこらのにわかとは年季が違うと自負しております。

そんな私が思うに、もし「公開処刑」のない世界線があったなら、「日本語ラップはもっと早く日本に定着していた」と考えます。

賛否両論ありましたが、Kjのライミングセンスは当時のシーンの中ではずば抜けていましたし、フローも多彩でした。何よりキャッチーなフックは耳障りが良く、日本人にも受け入れられやすい作品を多く残しています。Steady&Co.での活躍がその最たる例で、未だにあのアルバムの完成度はヘッズのみならず音楽業界の面々からも高い評価を得ています。

今でこそHIPHOPは若い世代を中心に定着しています。

バトルブームや楽曲のクオリティーが上がったなど様々な要因が挙げられますが、一番の理由としては「若者の耳が進化してHIPHOPを受け入れやすくなった」からだと思います。

私が若い頃、2000年代前半はいわゆる「バンド全盛期」だったので、若者の耳はまだ歌謡曲を受け入れる体制しか持っておらず、日本語ラップを許容しきれませんでした。

そんな中でもKjの手掛ける作品は爆発的なセールスを叩き出しており、それを面白くないと感じていたコアなHIPHOPファンたちから迫害されてしまったわけです。

ZEEBRAは日本語ラップシーンの立役者でありながら、奇しくも才能ある若者の芽を摘んでしまい、結果として日本にHIPHOPを定着させるのを遅らせてしまったと私は考えます。

まとめ

いかがでしょうか。

これが私が考える「公開処刑の無い世界線」です。

現在のZEEBRAとKjの優劣は火を見るよりも明らかです。Kjは各種フェスに引っ張りだこ、ZEEBRAはずっと避けてきたバトルシーンに参戦しなければならないほど活動に支障をきたしています。

もはや大御所と言われる年齢に差し掛かってきた二人の差は今後広がり続けてしまうのでしょうか。これからの動きにも注目です。

以上で私の考察を終えたいと思います。

異論やご意見がある方は是非コメント欄でお知らせください。

ありがとうございました。